9902人が本棚に入れています
本棚に追加
/277ページ
「京の生鱈奈良生なまっ! あーん、噛んじゃった……」
「きょうのなまだらならなままながつお」
「わーっ、むかつくっ!! サラッと横で言うの禁止ですよ」
「新人シャンソン歌手による新春新人シャンソン賞…萌優、噛むんじゃないか?」
「えー、言えますよぉ!」
腕の中でうずくまって呟いていた彼女は体を起こすと、ソファーの上に膝立ちになった。
目線が少しだけ俺より上になる。
両手を握りしめて、
「新人シャンソン歌手による新春新人シャンソンそう! ……噛んじゃった……!!」
強気で言い始めたのに、最後に詰まって噛む彼女。
その落ち込みがあまりにもおかしくて、ぶはっと笑った。
「と、ときなりさんっ! 笑うの禁止です!!」
「クックックッ……腹、痛い」
「もーっ!」
怒りながら、俺の口を塞ぎにかかる。
どうも彼女の得意技らしい。
それをよけながら両手を掴むと、そのまま引き寄せた。
「わっ」
倒れこみながら叫ぶ彼女。
それすらも可笑しくて笑いそうになる。
最初のコメントを投稿しよう!