確信する気持ち

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 「おめでとう、よろしく。じゃあな」  『待て待て待て!! この優しくて素敵な長井さんに、お前はなんって冷たい奴なんだ』  「優しくて素敵だぁ? なら気遣って俺の邪魔をするな!」  『……ははぁん。お前、新年早々から破廉恥行為に着手しようとしてただろ』  「なぁっ!? 破廉恥行為じゃないわ阿呆」    『阿呆はお前だともちゃん。大学生のお前だったころなら、お前確実に犯罪者だからな』  「ぬかせっ。アイツは今20歳過ぎてるから、犯罪者じゃねぇよ」  つい長井につられて勢いで話し続けてしまう。  腐れ縁はこれだから怖い。  一瞬でテリトリーを犯してくる。  だから……じーっと不思議そうに俺を見つめる萌優の瞳に、しばらく気づきそびれた。  見つめる瞳があまりに澄んでいて、やましい行為に及びかけた自分を叱咤する。  ―――いや、いい加減させてくれ。    可愛らしく首を傾げる彼女の頭をポンポンと撫でながら、  「とにかく切るからな」  冷たくそう告げる。  すると  『ちょい待ち。永友くん』  奴はいつの間にか電話を変わったようで……  よりによって安西、否、現在は奴の嫁である長井ほのかに相手が変わっていた。  「はぁ……安西か……」  思わずため息をついた。
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