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『ともくん、相変わらず私のこと嫌いよね』
「滅相もございません、安西様。あけましておめでとう」
『はいはい、今年もよろしくー』
いつも思う。
どうしてこんなに強いんだ。
目の前に居もしないのに、強烈なオーラを電話越しに感じる。
早く切りたいのに、この電話を切れずにため息を……ついたら殺されるので飲み込んだ。
「で、安西に代わるなんて、なんの用だ?」
『あー。新年早々友くんには悪いんだけどさ。あんまりいい話じゃないかも』
「聞きたくないな」
『ははは。まぁ聞くだけ聞いてよ。選択は自分ですればいいから』
「はぁ……」
『彼女、隣に居る?』
「聞かせない方がいいのか?」
『多分』
「ちょい待って」
一言おいて通話口を塞ぎ
「萌優悪い。向こう行ってくる。テレビでも見てて」
「あ、はい」
俺がわざわざ電話のために離れるとも思ってなかったのか、驚いた表情を浮かべつつも頷いてくれた。
「すぐ戻る」
彼女の頬を2度擦ってから、名残惜しくも手を離して寝室へ向かった。
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