序章《平和な日常》

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 そして数年間――息子の運命と共に生活をして今日にまで至った。無論、運命はこの真実を知る由もない。隠居してから今日まで、幸いにも異界の暴者共に見付かる事はなく、運命を狙う聖職者からも逃れられている  そして今、十字架を左目に刻んだ純粋無垢な瞳が可愛い顔をして小さな疑問を私に投げ掛けているのだ。勿論、答えよう 「いいか運命?小魚達にはまだまだ果てしなく長い未来があるんだ。大きな魚と違ってな」 「……みらい?」 「そう。そうして大人の様な大きな魚になる。自然を守る為には必要以上に魚を穫っちゃ駄目だよ?」 「なんでなんで?」 「お魚にも、私達と同じように家族がいる。家族が沢山減ったら可哀想だろ?」  そう言い聞かせると、運命は手に握った魚を丁寧に置いて、コクリと頷いた。どうやら分かってくれたようだ。 「いい子だ、運命。さぁ、お腹も空いたしご飯にしよう!」 「うん!」  子供とは実に純粋であると育てていく過程で教わった。嫌な事があれば怒り、イジけ、わんさか泣く。その反面、嬉しい事があれば我を忘れて喜び、笑う  その過程を何度も経験して、少しずつ大人に近付いていく。親はそうした子供の手助けをして、自立するまで守り抜くのが義務であり使命だと私は思う。  運命に至っては普通の子供よりも、より一層強くならなければならない。命尽きるまで息子を守っていくと誓ったけど……
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