序章《平和な日常》

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「それに、どうした?」 「お父さんがくれるプレゼント、いつも僕が欲しい物だし!」  赤面しながら言い放った運命だが、そんな事を言われて恥ずかしいのはエルの方だ。まさかここで思いも寄らぬ感謝の言葉を愛する息子に伝えられるなんて思ってもみなかったからだ。  実はずっと前から運命の誕生日プレゼントの件で悩んできた。本当に運命は喜んでいるのか?私の気持ちを汲んで無理に笑ってくれてるだけではないかと。  でもやっと、運命の言葉で心の中にあった靄(もや)が晴れた気がする。私が好き勝手に選んだプレゼントでも、運命は素直に喜んでくれていたのだ。  これなら毎年、運命の誕生日の為に街中を駆けずり回った努力も報われるというものだ。  『照れ隠し』、我ながら卑怯な手だとは思うが運命の素直な気持ちに笑顔で返す事しかできなかった。代わりに異常な位、声を張り上げて明るく話すしか 「よし! じゃあ運命の誕生日プレゼントはお父さんが決めるから楽しみにしてなさい!」 「うんっ!楽しみにしてる。」  親子二人で笑い合ったあの日  こんな幸せな日々がいつまでも続けば良いと思った。平和な日常が普通に感じられる毎日であれば、どれだけ幸せかと……  まさか、これが運命と過ごす『最期の誕生日』になるなんて誰が予想し得た事だろう?少なからずこの時の私は《落とし子》を守る父親よりも、運命という大切な一人息子の父親だった
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