6人が本棚に入れています
本棚に追加
つまりは、そういった意味を全て含めて自分が運命に出来る精一杯のプレゼントだという事。上手く伝わるかな?
ささやかな想いを込めながら今日の朝食と夕食の準備をする。今日の夕食は運命の誕生日という事もあり、朝から仕込みをする程腕を存分に振るう予定だ
朝食を作っていると美味しい香りに誘われたのか、目を擦りながら運命が起きてきた。未だ寝ている運命に笑って挨拶するとエルはいつものように言う。
「おはよう、運命。顔を洗ってきなさい。」
「うん……。」
そのまま運命は回れ右をして顔を洗い、しばらくしてから遅めの朝食を取るまでに至った。今日はもう一つ、いつもの生活には無い台詞を言わなければ。
いつもの様に食事前の祈りをする為に運命は手を組み黙想をしている。言うならここかな?
「主に感謝します。大地の恵みに感謝します。我らに命を与えて下さる事に感謝します――」
「そして愛する息子に十五歳の誕生日を迎えて下さった事に、感謝します……アーメン。」
「……えっ?」
手を組ながらエルを見詰める運命。恐らく当日の朝になっても自分の誕生日を忘れていたのだろう。
「今日は八月三十日だぞ、運命。誕生日おめでとう!」
説明を加えながら祝いの言葉を伝えてやると数秒遅れて意味を理解した運命が恥ずかしがる。まったく、可愛いものだ。
「あ、ありがとう!」
「さぁ、朝食を食べよう。」
「うん!」
こうして朝食を取り終えるといつもと変わらない様子で運命は出掛けて行った。誕生日だからといって特別変わった事は無く、毎日の日常を普通に暮らす
最初のコメントを投稿しよう!