64人が本棚に入れています
本棚に追加
目覚まし時計を止めて、10分後。
ようやく、まだはっきりと覚醒しきれていない頭のまま重たい布団から身体を這い出し寝間着から洋服に着替える。
と、言ってもTシャツとジャージの仕事着である。
私は、漁村に生まれた。
周りは海に囲まれた村で、村人の大半が漁師をしている。
今の夏の季節は村中が、魚を加工している異様な臭いに包まれる。
だけど、わたしはこの臭いが大好きだ。
魚の干物のまだ乾ききっていない生乾きの臭いと、煮干しを造る乾燥機の臭いが混ざりあってて、なんとも言い表しきれない香し~いあの臭い。
初めて嗅ぐ人はクサくて堪らない人が多いらしいが…
私は、幼い頃からこの臭いに包まれて育ってきた。愛しい地元の臭いなのだ。
まあ、嗅覚がマヒしているのかもしれないけれど…
.
最初のコメントを投稿しよう!