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「分かっとるよ…お母さん、ありがとう。いただきます」
急いで朝食を口にして、食器を片付ける。そのまま、台所で歯を磨きながら父を横目で見る。
母も父もいつもと変わらないようで何だかそわそわしてるようだった。
因に、家には洗面台という物はない。
食器を洗う母の横から水を拝借して口をゆすぎ、顔を洗う。
「お母さん、ご馳走さま。」
母に、蛇口を返して急いで部屋に戻り、仕事用のバックを肩にかけて髪をひとつに結う。
お化粧は、しない。化粧水と日焼け止めだけ。
お化粧なんてしても直ぐに落ちてしまう仕事だから。化粧品代が価からず助かる。
部屋を、出た所で父にもう一度声をかけた。
「何かあったら、教えてよね…」
「分かっとるって。良かけん、早よ仕事行かんね」
声は優しいものの、父はテレビに顔を向けたまま私の顔を見なかった。
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