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翌日、昨日言った通り、土方は朝に来たが…。
「…朝早くっつっても限度があんだろ…何時だと思ってんだよ。」眠い目を擦りながら銀時が言う。時刻は朝6時。
「ふわぁぁぁ~…て、お前ひょっとして荷物それだけ?」
土方の持って来た物はボストンバック一つ。
「ああ…よく考えたら備品は屯所のだし…自分の物は服ぐらいしかないからな。」
そう言った後上がり込む。
「…布団は明日届くことになってるから。」
荷物を置いた後、ソファーに座り煙草に火を点ける。
「…ふ~ん…て、あれ?そういやぁ何で制服?」
土方は隊の制服を着ていた。
「ああ…今日は仕事になっちまったんだ…せっかくの一緒に暮らす初日なのに…悪いな。」
すまなそうに土方が言う。銀時が首を横に振る。
「…いや、まぁ仕方ねぇさ…。」
口ではそう言いながらも残念そうな銀時に土方が苦笑する。
「ん…そろそろ行かねぇと…。」
煙草を灰皿に押し付けソファーから立ち上がる。来て早々、慌ただしく出て行こうとする土方を寂しそうに見る銀時。
「じゃあ俺、行くからな。」
銀時の前に立ち軽く髪に触れる。そして軽く頬に口付ける。
ふと玄関先で振り返る土方。
「あ、そうそう。昼飯は食いに戻るから。」
「…え?」
土方のその言葉に銀時が顔を上げる。
「何か作ってくれるだろ?」
ニヤリと笑う土方。
「…え、いや、大したもん作れないぞ?店で食った方が…。」
銀時の台詞を遮るように唇を塞ぐ土方。赤くなって下を向く銀時の耳元で…。
「…お前の作ったものが食いたいんだ。」
囁かれ益々赤くなる銀時。
「わ、分かったから…早く行けよ…!」
恥ずかしさの余り後ろを向く銀時。その背中をそっと抱き締める。「…行ってくる。」
言いながら抱き締める腕に力を込める。銀時がその腕にそっと触れる。
「…おぅ…行ってきやがれ!」
すっと腕を解き、そのまま出て行く土方。
銀時は暫くその場で惚けていたがやがて我に返り…。
「…寝直すか…。」
寝室に向かおうとしたが足を止める。
「…あ、昼飯作ろうにも冷蔵庫空だっけ。」
ぽりぽりと頭を掻く銀時。
「…しゃあねぇな…後で買い物に行くか…。」
とりあえず眠気を覚まそうと洗面所に向かう銀時。
顔を洗いながら昼の献立を考えていた。
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