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その日、土方は市中見回りを終えて屯所に戻って来た。自分の部屋に向かう途中何人かの隊士らが土方を見て…。
「副長!この度はおめでとうございます!」
そう言われ土方が首を傾げる。
「…何のことだ?」
訳分からず立ち尽くしていると向こうから近藤がやって来た。
「おう!トシ!聞いたぞ?お前とうとう身を固めるって?」
「……はぁ?」
土方は益々訳が分からない。
「ちょっ…ちょっと待ってくれ近藤さん。…身を固めるって誰が?誰と?」
近藤は不思議そうに土方を見た。「…お前が銀時と。そう聞いたぞ?」
「…はぁぁぁぁ!?」
土方が驚いていると今度は沖田がやって来た。
「あ、土方さん。真選組辞めて旦那に入り婿するって本当ですかぃ?」
そう言ってニヤリと笑う。
「誰が辞めるかぁぁぁ!つか入り婿って何だぁぁぁ!!」
沖田が肩をすくめる。
「あれ?違うんですかぃ?そう聞きましたけどねぇ?」
「…誰に?」
「新八くんとチャイナに。だから確かな筋の話かと思ってとりあえず皆に。」
ニヤリと笑って周りを指差す。
「…んなデマ言いふらしてんじゃねぇぇぇ!!」
土方は事の真相をはっきりさせるべく町中を走って新八と神楽を捜す。向こうから当の二人が歩いて来た。そして土方の顔を見るなりこう言った。
「あ、土方さん!この度はおめでとうございます!」
嬉しそうに言う新八にたじろぎながらも土方は新八に問う。
「…おい。聞くがその…俺ら二人の結婚云々の話はお前らが総悟に言ったのか?」
新八は怪訝な表情をする。
「いいえ?俺達はさっき見回りしていた隊士の人に聞きましたよ?沖田さんには昨日の銀さんとした話は言いましたけど。」
「…話?どんな話だ?」
新八が昨日の銀時との会話を話し出した。
時間は昨日のお昼過ぎに遡る。
その日、万事屋は仕事の依頼もなく相変わらず暇だった。
銀時はジャンプを見ながらソファーに腰掛けていた。
向かいに座っていた新八がお茶を飲んでいた。
「銀さん、今夜も土方さん来られるんですか?」
新八の問にジャンプのページを捲りながら答える。
「ん~?どうかねぇ。事件なきゃ来るんじゃねぇの?」
素っ気なく答える銀時に新八はやれやれと肩をすくめる。
「そ、そう言えばお二人とも付き合って大分経ちますよね?…この先、結婚とか考えてないんですか?」
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