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新八のその問いに銀時が顔を上げる。
「…結婚?んな大層もん…アイツは考えてないだろうよ。」
そう言って再びジャンプに目を落とす。
「銀さんは考えてないんですか?」「ん~?そうだなぁ…俺もいい年だし?考えなくもないが…。」
新八が目を輝かせる。
「じゃあ考えてはいるんですね?」新八が身を乗り出す。
「…え?いや、まぁ…。」
銀時は頭を掻きながら赤くなる。「お、俺はともかく…向こうはどう思ってんのかねぇ…。」
そう言って俯く。
「大丈夫ですよ。だって土方さん、銀さんをすごく大事にしてるじゃないですか!」
新八の言葉に銀時は赤くなりジャンプを開いたまま顔に乗せてソファーに横になってしまった。
以上が銀時とした会話だと新八が言う。
「…それだけか?その会話からして、別にはっきり結婚するとは言ってねえよな?」
新八がうーんと唸る。
「…そうですねぇ。じゃあ結婚するってのは嘘なんですか?」
新八が残念そうに言う。
「…あ、いやまあ…いづれ…な。」そう小さな声で言うが新八には聞こえていない。
「…でも何だか町中の噂になってるみたいですよ?」
そう言えば来る途中も何人かの町人に『おめでとう』とか女が『お幸せに!』て言って涙ぐんで去って行ったのを思い出し苦笑する。とりあえず新八達とはそこで別れて銀時の所に行ってみることにした土方は万事屋事務所を目指しまた走り出した。
万事屋事務所に着いた土方は呼び鈴も鳴らさずそのまま中に上がりこんだ。部屋の戸を開けると銀時が奥の事務椅子に腰掛けて驚いた表情で土方を見ていた。
「…どうしたんだよ?つかお前仕事中だろ?」
そう言って椅子から立ち上がり土方の傍に立つ。
「…まぁ来るかなとは思ったけどな…知ってんだろ?俺達の噂。」土方はちょっと驚いた表情で銀時を見た。
「びっくりだよなぁ~?何でこんなことになったのかねぇ…さっきだってお登勢のババアに『貰い手があって良かったじゃないか』て言われたよ。」
銀時が苦笑する。
「まぁ人の噂も75日って言うじゃん?その内消えるよ。」
土方の肩に手をぽんと乗せる。土方は渋い顔だ。
「…75日も待てるかよ…!」
銀時が苦笑いする。
「けどさぁ、ここで噂否定するとまた余計な噂立つんじゃね?噂好きな奴多いからなぁ…かぶき町はよぉ。」
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