4月1日

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後方からの声に二人が振り返ると 何食わぬ顔で紅茶を口にしている女王がいた 「いつの間に」 「私 女王だから 割かし何処へでも移動できるわよ」 「理論が通ってません」 「咲乃は口下手でしょうから 来て上げたのよ 志桜 しってる?ある国では 今日は嘘をついてもいい日なんですよ」 「・・・・・・・そういえば聞いたことがあります」 よく本を読んでいた父親がそんな話をしていたと思い出すと はっとなって女王と咲乃を見る志桜 「あんまり面白く噺が進んだからもうちょっと楽しもってたんだけどね」 「きょ・・・今日が その嘘をついていい日なんですか?」 「だって 志桜ったら最後まで話を聴いてくれないものね そういう所が可愛くて好きよ 本当に白いのね」 くすくすと笑う女王 悪意は無く 心から志桜を妹のように思っている様な感じだ 志桜といえば耳まで顔が赤くなっている 「えと・・・じゃあ 嘘なんですか」 「そう どっきりのつもりだったんだけど ゴメンネ 志桜? 」 赤面している顔から 大粒の涙が溢れてでてくる 其れを見て色白な顔を真っ青にしてしまう帽子屋 「あらあら 志桜ったら そんなに傷ついってしまったの?」 帽子屋と対照的に困ったように笑いながら志桜を抱きしめる女王 志桜は言葉にならないような声で泣いている 「ごめんなさい 女王様 ごめんなさい」 うわ言の様に泣きながら同じ言葉を繰り返す 「何で志桜が謝るの ほんと変な子ね よしよし もう泣かないで志桜 ごめんね志桜」 困り果てた帽子屋と慰める女王を他所に疲れ果てるまで泣き続けた志桜だった
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