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とある国の、とある街の片隅。
メガネ野郎こと琥太郎は、この街で料理店を営んでいた。
もうすぐ開店1周年。
大繁盛……とまではいかないけれど、そこそこリピーターがいるおかげで、なんとかかんとかやってこれた。
息子も産まれたので益々頑張らなくてはいけない。
って矢先にコレか。
胸の内で文句を言いつつ、反面、まぁいいかと思っていた。
さっき出ていったチビ介も、この店の常連なのだ。
だから、またすぐ来るだろう。という思いがあった。
今日の不足分はきっちり勘定してメモしておこう。
次、足りなかったら皿洗いでもさせよう。素直に聞くと思えないが、少々脅しても大丈夫だろう。
何てったってあのチビ介、
態度がデカイ。
チビのクセに。
琥太郎は、ブツブツ文句を言いながら皿洗いをするチビ介を思い浮かべると、ニヤリと口の端を歪めた。
皿をワザと溜めといてやろうか。
そんな算段を浮かべながらカウンターの上を拭いていると、チリンと軽くベルが鳴った。
来客だ。
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