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「あ!香月ちゃん!やっほー!」
「おぉ、今日は人が集まるなぁ。いらっしゃい。」
入ってきたのは、上品なドレスを着た銀の髪が美しい婦人。
優雅な仕草で日傘を畳み、にっこりと微笑みながらLUCCAと琥太郎にひらひら手を振った。
「LUCCAちゃん来てたんだね~。お昼に来るなんて珍しいねぇ。」
「香月ちゃんこそ。この時間帯は珍しいんじゃない?」
「犬の散歩のついでに寄ったのよ。」
「ソルトも一緒?外に居るの?一緒に入ってきなよ。」
「ううん。顔見に来ただけだから。」
穏やかな表情を浮かべながらコツコツとヒールを鳴らしてカウンターに近づく香月。
どうぞ、と琥太郎がカウンターの席に手のひらで招くと、ニコリと笑って微笑んで彼女はその席に着いた。
「ちょっと何か飲んでいきなよ。ソルトにもミルクあげるから。」
「あらぁ。でも悪いわぁ。」
「いいよいいよ。僕が連れてきてあげる。」
エプロンを外しながらカウンターを出ると、琥太郎は足早に店から出た。チリンと可愛いベルが揺れる。
「今日は天気良いね。」
「ホントねぇ。あらビール?私も頂こうかしら?」
「おやおや?お妃様が昼間っから大丈夫ですかー?」
「やだもうお妃様だなんて。」
ふふ、と上品に笑い謙遜を見せた香月だが、LUCCAの言う『お妃様』と言う言葉はいい加減なものではない。
香月は貴族だ。
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