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この国には王が居る。
外国から来た王。
この国は新しく、最近とある大国から独立したばかりだった。
元の大国で何年にも渡る大規模な飢饉が起こり、ここ数年で国は財政難の窮地に立たされた。
そこで、1つの島…この新しい国を外国の手を借りて独立させ…つまり切り離し、自国の経済を安定させようとしている。
その時、元々住んでいた住人たちは強制的に国籍を変えさせられた。当時は反発の声も多く、その事を期に出ていく国民も居たが、多くの国民は戸惑いながらも新しい国の国民として暮らしている。
そんな国民とは裏腹に、海外から多くの移住もあった。
新しい国の新しい王は、独立の際に手を貸した外国の王の、親戚筋に当たる若き王だ。
彼は、建国の際に自分に近い人間…つまり、貴族たちに有利な法律を建てた。
その為、この国には海外から来た貴族が多く居る。
香月もその1人だ。
「今日あーちゃんの店の前通ったらね、新作のケーキが出てたの。」
「赤猫ケーキ店?わー凄い!あーちゃんの所って毎日尋常じゃない数のケーキ焼くのに、その上新作?人間業じゃないね。」
「すっごい美味しそうだった~。どうしようかなぁ?帰りに買っちゃおうかな」
「買っちゃえ買っちゃえ~。」
「LUCCAちゃんも買う?」
「や、あたし甘いものはあんまり。」
「そっかぁ。」
貴族たちが居るものの、この国にはあまり隔たりが無い。
だからこそ、香月もLUCCAも琥太郎も、気兼ねなくホイホイ言葉を交わせる関係にあった。
だからと言って、貴族が軽視されているワケではない。
貴族しか出来ない事も、もちろんある。
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