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「あら?また増えたわねぇ。」
「あ?コレ?そーみたい。」
香月がルッカの見ていた名簿に気がついた。
ルッカは香月と自分の間に名簿を置き、パラリパラリとページを捲ってゆく。
その名簿に書かれている名前をつらつらと眺めながら、ふぅ、と軽く溜め息をついた。
「これからが大変ねぇ。」
「初めはこんなに広まるなんて思ってなかったよね。」
「そうねぇ。」
憂いた表情でペラリと名簿をまた一枚捲った所で、チリンと言うベルの音と「アン!」と言う可愛らしい声が聞こえた。
「あらぁ~ソルト抱っこしてもらっちゃって~。いいわね~良かったね~。」
「あはは!なつかれてる!」
琥太郎がソルトを抱っこして店に戻ってきた。ソルトは大人しく腕に収まり、白い尻尾をぷるぷるぷると限界まで降っている。
「ソルト元気だね。」
「そうなの~。食べ盛りでね~。」
「あ、香月ちゃん、ウンチ袋ある?店の前でスッキリしたみたいで……。」
「ま!ごめんなさい!すぐ取るわ!」
「あ、僕やるよ?」
「いーのいーのいーのいーの!」
ガササッと、小さい手提げの鞄から袋を取り出すと、香月は慌てて店を出る。
「やっぱ外のトイレがスッキリするよねぇ?」
さっきまで香月が座っていた椅子に、ちょこんと置かれたソルトは、グリグリと頭を撫でてくれるLUCCAに、また尻尾を千切れんばかりに高速に振った。
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