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「最近、どう?」
しばらく、無言でソルトの頭を撫でていたLUCCAが、突然声を上げて琥太郎に尋ねた。
「どう…って?」
「何て言うか…色々。」
「漠然としてるなぁ。」
琥太郎は、少し笑い声気味に応えると、ミルクの入った器を床に置いた。
LUCCAもソルトを床に降ろすと、ソルトは喜んで器の前に行き、チロチロとミルクを飲みだした。
「アレの事とか。コレの事とか。」
トン、と、LUCCAは名簿に手を乗せながら言うと、様子を伺うように琥太郎を見る。
琥太郎は、緩く微笑む顔を崩さないまま、またカウンターの中に戻った。
「人それぞれ考えがあるし、第一、アレは犯罪じゃないから。」
「うん。まぁね。」
「釈然としない所はあるけどさ、ま、今はなんとも。」
「元々無かったモノだしね。」
「そうだね。」と、琥太郎は穏やかに言うと、LUCCAの手の下にある名簿に目をやった。
短期間で、なかなか集まったと思う。
が、しかし、やはりまだまだだ、とも思う。
この名簿の表にはとある文字が書かれてあった。
『NO-Trixx!!!!』
それは琥太郎が立ち上げた組織の名前だった。
簡単に言えば、利益のみを求める契約をしない事を推奨する組織だ。
この国には、ある特別な硬貨が流通している。
それは国王の紋章が刻まれた特別な金貨だった。
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