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国が発行する貨幣には2種類ある。
1つは、通常の生活の為にある通貨。
もう1つは、国王の紋章が刻まれた金貨。
この金貨は『対価』の為のモノではなく、『評価』の為のモノだった。
王立造幣局より、直接一般国民へ送られてくる。
手に入れるには、『評価』されなければならなかった。
「あ、あの!」
チリン、と、また軽やかな音を鳴らして扉が開いた。
琥太郎は素早く反応して扉に目をやる。
「いらっしゃい、ませ?」
立っていたのは幼い面影の残る少年だった。
その後ろに香月がニコニコしながら立っている。
香月に背中を押されながら、まだ声変わりも終わっていない高い声で、彼は力いっぱい尋ねた。
「こ、ここ、ここは、のーとりっくすの受付ですかっ!?」
顔を真っ赤にさせ、でも堂々とした態度。
あまりの可愛さにLUCCAがニヤリと笑って顔を伏せた。
「そうだよ。いらっしゃい。」
「お、おじゃ、おじゃましまつっ!」
ブフッと吹いたLUCCAのお団子を、琥太郎がペンッと叩く。
「賛同者かな?」
「はいっ!」
「じゃあ、これに名前を…」
「あああああのっ!」
「はい?」
「この前の演説っ!感動しましたっ!良かったですっ!とっても!」
「…おおぅ。ありがとう。」
ふん、と、鼻息荒めに、目をキラキラさせながら琥太郎を見る少年を見て、香月は、「若いって良いわねぇ。」と独り言を言いながら、ニコニコとLUCCAの隣に腰かけた。
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