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春…
のどかに香る桜の花も
風も…
何一つ
不愉快なものはない…
両親の家業を手伝いながら、一人暮らしも始めた。
そんな時
子猫を見つけた…
「みゃ~…」
弱々しいその声は
明らかに捨てられたと思われる
ボロい段ボールの中から聞こえてくる…
雨に濡れたのか
白いと思われる毛並みは
灰色に見える…。
紗綾は直ぐに
子猫を抱き抱えた…
「家においで」
不思議そうに
首を傾げる子猫に
笑顔を送る…
「…ちょっとだけ、待っててね!」
紗綾は子猫を一度箱に戻すと
急いで近くのコンビニに駆け込んだ。
小さめの缶詰めと
牛乳…
衰弱している様子の子猫に、牛乳を公園の水道水で少し薄めて
買った器に注いでやった
「………おいし?」
少しだけ警戒しながら
鼻をひくつかせていた子猫も
しばらくすると
牛乳を飲み始めてくれた。
「名前は何がいい?…う~ん……しろでいいかなぁ?」
そんな事を考えていると
急に子猫…しろが
どこかへと走り出してしまった。
「あ!…しろッ…」
慌てて追いかける…
しろは
簡単に見つかった。
ある人の、足元に居たのだ
どうして
そこだったんだろう…
どうして
その人だったんだろう…
車椅子のその人は
柔らかい笑顔で
しろを見つめていた…
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