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暫く
その人と見つめあった気がする…
そして
遠くから、彼の友人と思われる男性が駆け寄ってきた。
「わりぃ~、なんかそこでバアちゃんに道聞かれちまって…」
茶色の髪にピアス…あまり、彼とはそぐわない感じだが
彼の友人に間違いないようだ…
「お?猫じゃーん!あんたの猫?」
そう言って、しろを抱き上げた男性は
何処かで買ってきたと思われる缶ジュースを彼に渡し、
紗綾に視線を送った。
「あ…はい…」
「随分汚れてんなぁ~…捨てられてたの?」
「ええ・・」
この男性は、人見知りという感情と無縁のようだ…
「あ!俺、宮根隆輔(みやねりゅうすけ)こっちは…」
隆輔が促すと、車椅子のその人は、メモ紙に、何かを書いて
紗綾に見せてくれた
『大友太陽(おおともたいよう)19歳です』
「私は、村瀬紗綾です」
「さあやちゃん?珍しい名前~」
「結構皆には、さやって呼ばれてますけど…」
『ミャ~』
急にしろが、鳴いたと思うと
隆輔の手から飛び降り
また、
太陽のブランケットでジャレ始めた…
“気にいったのかな、この膝掛け”
太陽の呟きが、紗綾にだけ響く…
そして
その内…
太陽の膝から
ブランケットが落ちた…
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