聞こえる

3/6
前へ
/9ページ
次へ
暫く その人と見つめあった気がする… そして 遠くから、彼の友人と思われる男性が駆け寄ってきた。 「わりぃ~、なんかそこでバアちゃんに道聞かれちまって…」 茶色の髪にピアス…あまり、彼とはそぐわない感じだが 彼の友人に間違いないようだ… 「お?猫じゃーん!あんたの猫?」 そう言って、しろを抱き上げた男性は 何処かで買ってきたと思われる缶ジュースを彼に渡し、 紗綾に視線を送った。 「あ…はい…」 「随分汚れてんなぁ~…捨てられてたの?」 「ええ・・」 この男性は、人見知りという感情と無縁のようだ… 「あ!俺、宮根隆輔(みやねりゅうすけ)こっちは…」 隆輔が促すと、車椅子のその人は、メモ紙に、何かを書いて 紗綾に見せてくれた 『大友太陽(おおともたいよう)19歳です』 「私は、村瀬紗綾です」 「さあやちゃん?珍しい名前~」 「結構皆には、さやって呼ばれてますけど…」 『ミャ~』 急にしろが、鳴いたと思うと 隆輔の手から飛び降り また、 太陽のブランケットでジャレ始めた… “気にいったのかな、この膝掛け” 太陽の呟きが、紗綾にだけ響く… そして その内… 太陽の膝から ブランケットが落ちた… .
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加