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そういった人を
実際に目の前で見たのは初めてだった…
落ちたブランケットからは、あるはずのものがなく
そこにはただ
太陽の上半身のみが
座っているのではなく
置かれているようにすら見えた…
“…………”
太陽の声は
紗綾にも届かない…
ブランケットにかぶさって、しろはご機嫌だ
「…よっ…と」
隆輔が
表情を変えずに
ブランケットを太陽の膝に戻した…
「…じゃ!ちゃんと猫洗ってやれよ~」
そう言って
車椅子を押しながら
隆輔は太陽と
去って行った…………
(聞こえた…)
(あの人の声が…)
でも…
(隆輔さんの声は、何も届かなかった…)
紗綾に
太陽を偏見の目で見る気持ちはなかった…
むしろ…
心に届いた優しい声に
嬉しささえ感じていたのだ・・・・・
幼い頃
強く禁じられ
実の母にすら
不気味がられた記憶……
紗綾は
人の心が読める
幼い頃は
相手は問わなかったはずだが・・・・・・
今は
何故………………?
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