284人が本棚に入れています
本棚に追加
彼女は神谷財閥の一人娘、神谷奈帆だ。
国内でも有数の金持ちの娘であることから、本人もそれに影響されて存分に贅沢に育った。
どこへ行くにもリムジン、何をするにも執事が必要なほどだ。
学校ももちろん金持ちが集まる私立の学校であり、ちょうど彼女はそこへ登校しているところだった。
制服も、ベージュのブレザーに青のチェックのスカートという、いかにも可愛さ重視な姿。
胸元に映える赤いリボンが、奈帆のお気に入りだ。
朝の通勤ラッシュで混雑する道路を車内から眺めながら、そんな幸せなはずの生活に、ため息をついた。
車ばかりに見飽きて上を見上げると、ビルのすき間から少し青色が漏れている。
「空が……あんなに遠いね」
最初のコメントを投稿しよう!