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大きなリムジンは、入り組んだ都内を数分走るだけで、すぐ学校に着いた。
他にもいくつかの車が止まってはいたが、奈帆のリムジンはその中で異色を放っている。
「行ってらっしゃいませ、お嬢様」
執事は早々と運転席を下りると、丁寧にドアを開けていた。
「行ってきます」
まだ艶やかに光っているローファーが、地面に小さな音をたてて着地する。
奈帆はそのまま、騒がしい女の群れの中にひっそりと消えていった。
彼女は、毎日学校へ来ている訳ではなかった。めんどくさいと思えば、腹痛などを言い訳に休んでいる。
大学もどこかの私立へ行けばいいと思っていた。幸い彼女は、休んでいるくせにテストではそこそこの点を取っていた。
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