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2台が頂上に帰ってくる。
「結果は・・・・言わなくても分かるよ」
翔太は真人に言った。
「やっぱ速ぇなアイツ・・・・・」
第3話 『消極的な白煙番長』
やれやれ、といった表情で司は野口に向かって歩いてきた。
「野口、話にならない。こいつらの実力なんてこの程度だ」
「司君、君は何か勘違いをしている」
「・・・・・・どういう意味だ?」
「彼らはここを走ったことはない。
しかし君は徹底的な研究による情報と走りこんだ練習量がある。
君が勝って当然だ」
「・・・・だったら何だ?」
「このバトルの意味はどこにも、何も無い。
しかも10秒差があってもいいところを、彼は6秒という差で終わらせた。
技術的にも問題は無い、朝田君たちをチームに迎える。
異存は?」
「フン、勝手にしろ」
司はふてくされた表情のままクルマに乗ると、そのまま下って帰ってしまった。
「帰っちゃいましたけど・・・・・」
「気にしないでくれ、いつものことだ」
野口は冷静そのもの。
装っているようには見えない。
慣れているのだろう。
「野口さん、俺、やっぱり入れません」
「「「!?」」」
真人の言葉に、その場にいた3人は驚きを隠せなかった。
「どうしてだ、やはり司君の性格が・・・・・?」
「いえ、でも負けたことは事実だし、なんか違う感じがして・・・・」
そう話す真人。
「・・・・・・・・そこまで言うのなら、私も無理強いできないな」
少し間を空けて、野口は言う。
しかし、その顔は残念そうだった。
「ただ、翔太だけは入れてやってください。コイツ、このチームに憧れて今まで走ってたんです」
「朝田・・・・」
「分かった。では荒瀬翔太君を『OVER FLOW』のメンバーに迎えよう」
「朝田君、機会があればまた一緒に走ろう」
「朝田、俺今より上手くなってやるからさ!!また走ろうぜ!!」
真人はゆっくり頷き、津木の峠を後にした。
「よろしくね、荒瀬君」
「ああ、よろしくな里原」
悠は翔太がチームに入ることを祝すように、握手をした。
「翔太君、いい友人だね」
「ええ、口では偉そうなこと言ってましたけど、ホントに優しいやつですよ」
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