39人が本棚に入れています
本棚に追加
翌週末、水越。
先週はいた翔太がいなくなるだけで、極端に心細くなる。
友の存在の大きさを改めて感じた。
「ふぅ・・・・・・ホントに俺一人なんだな――」
そのとき、豪快なエキゾーストとスキール音があたりに響く。
乾いたサウンド、RBエンジン。
「まさか・・・・」
瞬時に司を思い出してしまう。妙な焦燥感。
しかしそこに現れたのは、R32 GT―Rではなく、白いER34、スカイライン25GT。
34スカイラインとしては定番とも言えそうな、ユーラスのフルエアロ。ドリ車ルック全開だ。
ロードスターの存在に驚いたかのように、その場でスピンターン、勢いよく来た道を引き返していこうとする。
(!!)
それを追いかけようと真人はロードスターに乗り込むが、すぐにスカイラインは停車してしまう。
真人はスカイラインに駆け寄り、ウィンドウをノックした。
ゆっくりと窓が開き、華奢な男性が顔を出した。
「・・・・・あの、ここまだ使いますか?」
呟くような声。しかし、真人は彼が只者ではないような気がした。
「俺も今来たとこなんだ。一緒に走らないか?」
声は出さなかったが、ハッキリとした驚きの色が彼の顔には現れた。
「34スカイラインだろ、ドリフトか?」
「すいません、一緒には走れません」
それだけを言うと彼は勢いよくスカイラインを発進させ、来た時と同様に豪快なスキール音とエキゾーストを轟かせ下っていった。
「アイツは・・・・」
そう呟くと、真人はロードスターを走らせ始めた。
翌週も、翌々週も、真人はそのスカイラインに水越で会った。
しかし彼はロードスターを見つけると、そのまま帰ってしまった。
そしてさらに翌週・・・・・・
また彼はやってきた。
そしていつも通り引き返す。
真人はそれを追いかけるべく、ロードスターのアクセルを開けた。
(今夜こそ・・・・とっ捕まえてやる!!)
最初のコメントを投稿しよう!