『消極的な白煙番長』

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翌週末、水越。 先週はいた翔太がいなくなるだけで、極端に心細くなる。 友の存在の大きさを改めて感じた。 「ふぅ・・・・・・ホントに俺一人なんだな――」 そのとき、豪快なエキゾーストとスキール音があたりに響く。 乾いたサウンド、RBエンジン。 「まさか・・・・」 瞬時に司を思い出してしまう。妙な焦燥感。 しかしそこに現れたのは、R32 GT―Rではなく、白いER34、スカイライン25GT。 34スカイラインとしては定番とも言えそうな、ユーラスのフルエアロ。ドリ車ルック全開だ。 ロードスターの存在に驚いたかのように、その場でスピンターン、勢いよく来た道を引き返していこうとする。 (!!) それを追いかけようと真人はロードスターに乗り込むが、すぐにスカイラインは停車してしまう。 真人はスカイラインに駆け寄り、ウィンドウをノックした。 ゆっくりと窓が開き、華奢な男性が顔を出した。 「・・・・・あの、ここまだ使いますか?」 呟くような声。しかし、真人は彼が只者ではないような気がした。 「俺も今来たとこなんだ。一緒に走らないか?」 声は出さなかったが、ハッキリとした驚きの色が彼の顔には現れた。 「34スカイラインだろ、ドリフトか?」 「すいません、一緒には走れません」 それだけを言うと彼は勢いよくスカイラインを発進させ、来た時と同様に豪快なスキール音とエキゾーストを轟かせ下っていった。 「アイツは・・・・」 そう呟くと、真人はロードスターを走らせ始めた。 翌週も、翌々週も、真人はそのスカイラインに水越で会った。 しかし彼はロードスターを見つけると、そのまま帰ってしまった。 そしてさらに翌週・・・・・・ また彼はやってきた。 そしていつも通り引き返す。 真人はそれを追いかけるべく、ロードスターのアクセルを開けた。 (今夜こそ・・・・とっ捕まえてやる!!)
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