『ルージュ・ノワール』

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走り屋系(?)小説(??) 「D’live」 第1話 『ルージュ・ノワール』 夕飯を済ませた朝田 真人(あさだ まさと)は、愛車の真っ赤なNB8C型、マツダ ロードスターに乗り込んだ。 イグニッションをひねり、アクセルを2、3度あおる。 「絶好調」 そう嬉しそうに呟き、クルマを発進させた。 彼はこの街生まれのこの街育ち。 両親は小さいうちに離婚したので父親と生活をしていたが、その父も高校卒業と同時に過労がたたりこの世を去った。 その年にたまたま受験していた市役所の事務職員採用試験で内定をもらったので、そのまま採用に応じてから6年が経つ。 現在24歳、彼女の『か』の字も伺えない、ただの車好き。 10分も走れば、ロー●ンが見える。そこにいる、黒いRPS13、180SX。 「遅いぞ朝田、津木はもう始まってる」 その180SXのオーナー、荒瀬 翔太(あらせ しょうた)。 真人の職場の友人で、走り仲間。そして口数の少ない彼とつるむ数少ない人間でもある。 2人ともクルマにかけたお金は同じくらい、技術的にもそれほど差は無い。 「今日は走りたい、水越に行くぞ」 「はいはい、じゃあ行こうか」 彼らはいわゆる『走り屋』と呼ばれる人種だ。 一般的に一昔前のニュースや警察が『ローリング族』と呼んでいる人達のことで、違法合法問わず改造されたりされなかったりする自動車やで違法な速度を出しながら公道を走り回る、エコにも周辺住民にも悪影響な行為をする人達。 中には公道なんて危なっかしいところを走らずにサーキットで走る人も『走り屋』と呼んだりするが、基本的には公道がメインだ。
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