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「まぁ、今は言えないけどさ~、大丈夫だよ~、鷹ピーくぅん」
おどけて見せる充と顔を見合わせる鷹志。何を言っても平行線の状態に言葉を失っている。そんな時、鷹志のすぐ右隣の席から、恐る恐るというか、オドオドしたような声が聞こえてきた。
「ゆ、幸村さん。……ぼ、僕。いや、俺……俺があなたを補助しますから、わ、我々に任せてくださいさいさい」
どこか懐かしく聞き覚えのある声に、鷹志がすぐ右隣を見る。すると目の下から口元までバンダナで顔を隠した男が。
「岸田!」
と鷹志の言うように、前回冴場の城に行ったときに手助けをしてくれた、草RE外道の総長岸田である。今は内気なモードの岸田である。そんな小さくなっている岸田に鷹志は思った。
(コイツ、いたの!?)
「お前、いたの!?」
(っ!! 充!!)
一瞬自分が発言してしまったのかと思えるほど同じ考えの言葉。声の主はこの回を仕切っている充である。そんなとぼけた充に、表情は見えないが焦った様子の岸田が答える。
「み、み、充さん、それはないですよ~最初からいましたから~」
「ま、マジ? 全然気がつかなかった」
「え、え~! て、ていうか、呼んだの充さんですからから……」
「あぁ、 忘れてた」
瞬間、笑い声が広がる室内。鷹志の気持ちの中では、岸田がいれば安心という気持ちと、まだ充を信用できていない自分がいた。
笑い声の雑音の中、鷹志は少し考えこう言った。
「ありがとう、岸田。援護頼む」
恥かしそうにする岸田。バンダナを更に上に押し上げ顔全体を隠し鷹志返答する。
「ま、任せて下さい。我々がいれば、百人力です」
顔が見えなくなった岸田を見て鷹志は思う。
(やっぱり、大丈夫だろうか? コイツで……)
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