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すごい足音をたて、霊安室の前の入口を横切り、隣の部屋を越える。
男もカメラを回す余裕がないくらい焦っているのか、画像は上下左右に揺れ、何が何だか分からない。
しばらく揺れた後、画面の大きな早い揺れはおさまった。そのかわり間隔の少し長い、上下に揺れが起こる。
それと共に、間隔の長い足音。
おそらく二人は階段を、一段飛ばしで昇っているのだろうと思われる。
案の定すぐにその揺れも終わり、再び激しい揺れが……。と思った矢先、その揺れもおさまった。
すぐに男性の、漏れたような呟く声が聞こえてくる。
「う、嘘だろ……」
弱々しい男性の声。男は立ち尽くしているのか、映像は黒ずんだ床のタイルだけを見せていた。
カメラを持つ男から、女性に質問が出る。
「なあ……おかしいと思わないか?」
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