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「何が?」
と女性の不安そうな声だけ聞こえてくる。
男性は落ち着きを取り戻そうとしているのか、答えを映すかのように画像を正面の真っ暗な廊下へと映し出した。そして質問の返事をする。
「確か俺達が初めに入ってきた時、向こう側の玄関って大きなホールになっていなかったか?」
男が言うようにカメラが映す奥の方は、廊下の左右両側ともホールなど無く、奥までずっと部屋になっているように見えた。
「ほんと……」
「とりあえず化け物は付いてきてないようだし、向こうに行ってみるしかないか……」
男がそう言い、二人は奥へと歩き始めた。不安を乗せたまま。
二人の歩く足音だけが響く廊下。男が言うように、進んでも進んでも病室のような部屋ばかりで、入ってきた時にあったはずの検査室などは、全く見あたらなかった。
そして二人は廊下の一番奥の、窓の所までやってきた。
そこであり得ない事実に直面することとなる。
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