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「嘘だろ……」
「何で!?」
二人から驚きと恐怖の声があがった。
そして廊下の突き当たりにある窓の鍵を開けようとする手が映る。
長い指だがゴツゴツとした男性っぽい手。
少し震えているように見えるのは、気のせいだろうか……。
鍵が開けられ続いて窓も開けられる。無言のまま、カメラと一緒に窓の外に顔を出す。
夜であり周りは暗いが、前の方には空が見えている。
画像はゆっくりと下に向けられた。
下へ下へ。35度、45度と角度がきつくなっていくが、そこにはあるべきはずのものが無かった。
何が無いのか。
それは“地面”だ。
この二人は今地下から計算から言うと、一階にいるはず。
しかし下に傾けらた画像には、地面が映っていないのだ。
いや……。
地面はある。
ただ。
この階の遥か下。
かなり遠い位置に地面があるのだ。
男は焦っているのか、息を荒くしながらこう言った。
「どうなってるんだよ!これは!! 俺達は一階分しか上がってないはずだぞ!? なのに何でこんな高いんだよ!!」
「分からない!! 何かおかしいよ、ここ!!」
とその時だ。
女性が声にならない声を出す。
「あっ……あっ……」
とだけ言う姿に驚き、男性が振り向くのと同時に画像が行った。
女性は目を大きく見開き、口を大きく開け震えている。
「なんだよ!?」
カメラがその指を辿る。
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