・6月14日(土)【残り48日】

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【401号室】 映されたのは病室の横のプレートだ。 埃(ほこり)まみれになっていて色は薄いが、確かにプレートにはそう書かれている。 カメラのすぐ近くで怒鳴る男性の声。 「何でだよ!? 401って四階だろ!? 俺達一階にいるはずだろ!! 一体どうなってるんだよ!!」 なだめるように、しかし緊迫した口調で女性の声が続く。 「落ちついて!! とにかく下に降りましょう!! 話はそれから」 「だけどおかしいだろ!? 一階上がっただけで、四階……えっ?四階!? ……。 ……。 それってあの写真に写っていた!?」 今まで一番の動揺の声が出たその時だった。 カメラが映していたプレートの部屋のドアが、ゆっくりと開いているのが見えた。 木が擦れるような、いやーな音をたてて。 二人は恐怖で声を出すことも出来ない。 画像は少しずつドアから遠ざかっている。 男性が後ずさりしているのだろう。 しかしすぐに反対側の壁にぶつかったのか、画像が少し揺れてその位置から動かなくなった。 緊張が最大に達しているのだろう、小刻みに震える画像。 そしてドアが完全に開く。
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