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開いたドアの向こう側には、予想外に何者もいなかった。しかし、それが逆に恐怖を煽る。
何故扉が開いたのか。
誰もいないのにドアが開く奇妙な出来事。
その部屋の中から何か縄のような物が擦れるような、きしむ音が聞こえてくる。
“ギシッ”
“ギシッ”
“ギシッ”
“ギシッ”
画像が小刻みに揺れている。カメラを持つ手が震えているのだろう、同じように震えた声が聞こえてくる。
「な、何だ?この音はよぉ!?」
同じく震えるか細い女性の声。
「わ、わからない……」
カメラの横辺りから懐中電灯の光が部屋の中を照らす光景が映される。その瞬間、二人の悲鳴が廊下に響き渡った。
「いやぁぁぁぁあっ!!」
「う、うぁー!!」
二人は驚きのあまり、後ろに後ずさりし尻餅を付いた。
二人が見たもの。それは部屋の真ん中で、天井から吊り下げられている“小太りの男”だったのだ。
正確には顔が向こうを向いているのではっきりとは言えないが、白のタンクトップに、ヒザまでのズボン。ムチムチとした体に、坊主頭の後ろ姿が間違いなく、小太りの男だと言っている。
先ほどの音は、天井に刺さるフックから縄が下げられ、それに首を吊り、左右に揺られて出る音だったのだ。
二~三回揺れた男性の体だったが、それが回転し、顔がこちらを向く。
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