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『先程から気になっていたのですが、もしや貴女様…記憶が無いのでは?』
小首を傾げながら尋ねる死に神が一歩、私に近付いた。
「……どうして知っているの…?」
背後にスペースは無いので、私は球体の壁伝いに死に神から距離をとる。
『やはりそうですか…』
大袈裟に嘆くそぶりを見せた後、死に神はまた一歩。
「でも、ほんのちょっとの間の記憶だけよ?」
私もまた一歩。
近付くと距離をとる。
そんな私に死に神はキョトンとした表情を浮かべている。
それはまるで、何故自分が避けられるのか、純粋にわからないとでも言っているかの様だ。
普通の人間は、死に神を避けると思うのだけれど…
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