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「そっか…私、死んじゃったのか…」
『思い出されましたか?』
球体に寄り掛かる様に体をあずけ、私は小さくため息をついた。
死んでしまった実感は無かったが、あの流れだと、私にスーパーマン級の跳躍力でも無い限り、まず間違いなくトラックにあたっているだろう。
実際ドンッという音もした訳だし。
「そうだ!!あの子は?!私はあの子を助けられたの?!それとも…」
私は隣の死に神の胸倉を掴んで揺すぶった。
…思い出したのだ。
授業を終え、帰宅する為に校門を出たところで、小さな子供を見かけた。
その子は真新しいボールを持ち、嬉しそうに歩いている。
ボールばかりを見ていたので、危ないなぁと思い、それから私は一度時計に目を向けた。
午後5時1分。
もう一度子供に視線を戻すと、取り落としてしまったのだろうか?
道路に向かって転がったボールを取りに飛び出しているところだった。
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