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声は暗い地平線にのまれて行くばかりで、こだますら返って来ない。
シン…としたしじまに私の息遣いだけが妙に響き、何だか嫌な汗が浮かんで来る。
誰でも良いからこの状況を説明して欲しい。
私はもう一度叫ぼうと、球体に張り付く様に手を付き、おもむろに口を開いた。
『クスクス……』
ざわり…と、背筋が総毛立つのを感じる。
突如、誰もいなかったはずの背後から頭に直接響く様な笑い声がしたのだ。
私は咄嗟に振り返り、閉じ込められた状態ではまぁ無意味なのだが、背後の何かから距離をとる様に球体にピタリと背を付け声のした先の空間を睨んだ。
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