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「く…わかりました。勅命だ、指示に従え」
現れた時よりも素早い速度で
王の間から魔族が居なくなる、静かになった玉座、これ幸い。
「じゃ、俺も失礼しますね」
流れは俺にある
自然な流れで立ち上がり
王の間を後にしようとするが
「待って」
少女は俺を逃がしてくれなかった。
振り向くと共に双剣を構える。
空かさず、カリューヌが己の身を呈して少女を守ろうとするが。
「カリュ」
「ですがっ!」
「カリュ」
それ以上反論せず、身を退ける。
「お願い」
眉間に谷を作った瞬間
「私を連れてって」
魔王討伐に行って
魔王の娘を連れ帰ってきた勇者など
きっと末代の恥として語られるのだろう。
だが俺は断る事ができなかった。
断ったら殺されると思ったからではない
と語り継がれる伝説に認めたく思う。
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