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痛いような静けさに
耐えられず 目を逸らす
肩越しに見える月
照らされて 心が動き出す
夜が見せる一夜だけの幻
身体を包み込んだ
この気持ちを隠して
息がかかる程に近く
触れたい思いが募るほど悲しい
息を止め 目を閉じて
近すぎる二人の距離を感じた
細い糸を張るようなこの一瞬
切れそうな程危うく
あと少しだけ手を伸ばしそっと触れれば
全てが変わる
音も無く冷めた夜
消えるように翳る月
訪れた濃い闇に
沈むように もっと青く深く
細い線を辿るように優しく
傷つけるほど強く
止まらない
ざわめき揺れるこの思いが
全てを変える
全てを曝け出す夜明けが
来るまで
この夜に溶かされてゆく
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