3013年、7月20日、晴れ。【破】

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例えるならここは真っ暗な海。 波の音は勿論無いけれど。 聴こえてくるのは、私の身体中から鳴り響く、機械の微かな唸り。 ふと思い立って、振り返る。 アクアマリンの石粒のような地球が、遙か遠くでキラキラと輝いていた。 『綺麗…』 思わず発声装置から〝言葉〟が漏れてしまう。 この広大な暗い海を漂いながら見る、あの小さな青星の美しいことと言ったら。 その地球の煌めきに詠嘆しながら、私はしみじみと感じ入るのだった。 ーああ、私…私、本当に…本当に憧れの宇宙へ来たんだ。
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