3013年、7月20日、晴れ。【破】

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【おい、どうした?大丈夫か?何かあったのか?】 ノイズ混じりの低い声が、私の受信機をさやさやと擽る。 【おい!応答しろ、千尋!】 高本さん。 高本さんの声。 私の名前を呼ぶ声。 『アァ、ゴメンナサイ…地球ガ、余リニモ綺麗ダッタノデ、ツイ〝声〟ガ出チャッテ…』 【…そうか】 暫くの沈黙。 何て静かなんだろう。 少しだけ、不安になる。 地球ではとても大きかった筈の私の身体は、今じゃこんなに小さくて、頼りない。 【お前、少し脳波が乱れてるぞ。 大丈夫か?】 酒焼けしたザラザラの声が、いつもより低くて小さい。 きっと心配してるんだ。 『大丈夫デス!』 出来るだけ元気に聞こえるように、機械音声のボリュームを張り上げる。 【本当か?】 『ハイ!ムシロ、念願ノ宇宙ニ来レテ、わくわくシテル位デスカラ!』 【本当にか?】 『本当ニデス!』
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