3013年、7月20日、晴れ。【破】

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高本さんは小さく溜め息を吐いて、【そうか】と一言だけ零すと、そのまま黙り込んでしまった。 心配してもらえている。 一人の〝人間〟として。 不器用で繊細な優しさ。 それに触れられるだけで、私は、幸せ。 『高本サン』 【何だ?】 『アリガトウゴザイマス』 抑揚の無い、機械的な声。 ほんとは、もっともっと、この気持ちを伝えたいんだ! 伝えたいのに…叶わない。 【…】 息を飲む音が聞こえた。 大丈夫。 戻れる、戻ってくるんだ。 必ずあの宝石みたいにキラキラ光る星に帰るんだ。 それで…それから…それから…。 『コチラ、人型宇宙探査機〝あまてらす〟。 只今ヨリ、目標・廃宇宙ステーション〝イリョス〟ヘ向カイマス』 あの綺麗な地球を、脳に焼き付けておこう。 そして、帰ったらみんなに胸を張って自慢しよう。 私が地球を守ったんだ、って!
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