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高本さんは小さく溜め息を吐いて、【そうか】と一言だけ零すと、そのまま黙り込んでしまった。
心配してもらえている。
一人の〝人間〟として。
不器用で繊細な優しさ。
それに触れられるだけで、私は、幸せ。
『高本サン』
【何だ?】
『アリガトウゴザイマス』
抑揚の無い、機械的な声。
ほんとは、もっともっと、この気持ちを伝えたいんだ!
伝えたいのに…叶わない。
【…】
息を飲む音が聞こえた。
大丈夫。
戻れる、戻ってくるんだ。
必ずあの宝石みたいにキラキラ光る星に帰るんだ。
それで…それから…それから…。
『コチラ、人型宇宙探査機〝あまてらす〟。
只今ヨリ、目標・廃宇宙ステーション〝イリョス〟ヘ向カイマス』
あの綺麗な地球を、脳に焼き付けておこう。
そして、帰ったらみんなに胸を張って自慢しよう。
私が地球を守ったんだ、って!
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