3010年、6月12日、雨。

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「残念だが…君の命はもって三ヶ月だ」 真っ白な天井。 薄っぺらい布団。 固いベットの上に横たわりながら、六ヶ月前のお医者さんの言葉を、私は何の気なしに思い出した。 「私、半年生きた、なんか、ははっ、ざまあみろって、感じ」 震えながら発した、この乾いてボロボロの言葉は、別に誰かに吐きかけているのでもなく。 私に死の宣告をあっさりと言い放ったお医者さんへ向けた嘲りでもなく。 何か、ちょっとだけ運命に抗うことが出来た自分に対しての労いの言葉。 自分で言うのもなんだけど、私、結構頑張ったと思うんだ。 お医者さんが、「延命措置もせずにここまで生きていられるなんて奇跡だ」なんて、本人を目の前にして不謹慎な驚き方をするくらい〝長生き〟したんだもんな。
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