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「まぁ我が国の動物研究の第一任者とも言えるドクターシルキが助手の若造にお株を奪われたともなると表舞台に顔を出しずらくなりますもんねぇ…。」
「焚き付けるな。
何、ワシはもうこんな歳だ。そろそろ研究室からも身を引こうと思っておる。その前に今回はかねてより研究していた薬の完成を知らせて研究人生に幕を降ろそうと思っておったのだ。」
「ほう、それは初耳ですな!では後任は私が継いでも良いと、そう仰るのですな!」
「がっつきまくりじゃな。だがその野心、ワシは嬉しいよ。あぁ、私の研究成果は全て君に託すよ。この建物からデータの全ては君の資料に有効活用するがいい。ただ…」
汁木博士は一つの懸念があった。
「君ね、良いかい?君の開発した薬は下らない物ばかりじゃないか」
「何ですと!?」
「だってそうじゃないか。君が開発するのはさ何の有用性も無い無駄な物ばかりじゃないか。」
そう、他人に無い着眼点と発想は凄く情熱に任せて次々と薬を開発してしまうが、肝心の使い所が無いのだ。
使い道に困る薬ばかり作る三枝の未来を汁木博士は心配していたのだ。
「この間だってそうじゃないか。“20%の残尿感を必ず残す薬”っての開発しただろ。あれを投与された猿がそわそわして夜も中々寝付けなくてニ時間ごとに起きては落ち着き無くウロウロした後また眠って…そんな行動を繰り返しては3日後に死んじゃったじゃないか。」
「あれは、残尿感で人は死ぬと言う確証を得るための尊い犠牲ですよ!」
「要らないよそんな犠牲は!残尿感を覚える薬を作るぐらいなら尿をすっきり出し切る薬を作れ!」
「その発想はなかった!!」
いや、普通そっちが先だろ。
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