新薬

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「そうだな、後期高齢者と若年層の所得の低下の影響で今人口と年齢のバランスは狂ってしまった。 更には独身貴族とか草食系とかよばれる輩まで現れてきよった。ワシはこの国を嘆いておる。だから、この薬を作ったのじゃよ。」 「それがこの箱ですか。」 「うむ、“パンドラ”と名付けた。」 「そのネーミングセンス中二くさいからやめて下さい。」 「う、む…そうか。」 汁木博士は心底ショックだった。実は気に入っていただけに相当なダメージを受けた。 「この箱の中に入っている物こそがその薬品。一種のフェロモンなんだが、これを嗅いだ人間は何だかキュンキュンした気持ちになるのだ。」 「良い歳した爺さんがキュンキュンとか言うなよ。」 「つまり何だな、恋がしたい気持ちにさせる。媚薬みたいな物だな、それで若年層の心に火を付けると言う寸法よ。」 「お節介な事ですね。しかしここは山奥の研究所こんな所で使っても無意味でしょうに。」 「そうだ。だから私はこれから街に言って撒いて来るのだ。」 「それはまずい!」
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