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『まさか、お前とこのような形で再会することになるとは、な』
呟くその男が纏う雰囲気は、かつて対峙したときの印象とはまるで違う。
しかし細部こそ異なるものの、手にした大鎌と蝙蝠を連想させる翼、死神を思わせるその姿はかつて対峙した敵を思わせる。
その全身のカラーリングが白であることも、その想像が間違いでないと確信を抱かせるには充分だった。
我知らず、ゼータキャリバーは言葉を紡ぐ。
『暗黒機兵デスハーデス…!? ではお前は…シャイン=クローク…いや、ハザード=シャドーレイスッ…!!』
かつてカオスガーデン事件で対峙した、敵の総大将と言うべき存在。
宇宙最大の犯罪者と呼ばれた男の記憶と意志を引き継いだ、絶望の化身とも呼ばれた男。
しかしそう呼ばれた男は困惑するように首を傾げると、苦笑と共に言葉を返す。
『懐かしい名を聞いたな。だが生憎と、今の私は、ただの”シロ”だ』
その言葉の真意を、ゼータキャリバーは測り知ることができない。
ただ一つ確かなのは、彼が自分を敵としては見ていない、という事実のみ。
そんな彼に、苛立ちをぶつけるように言葉を掛けるのは、ブラックゼータキャリバーである。
『貴様…何者だ?』
『通りすがりの使いっ走りだ。気にするな』
シロと名乗る男は、やはり感情を込めない口調のまま、悠然と言ってのけたのである。
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