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少々時間を遡る。
場面は変わり。星間連合の片隅に浮かぶ惑星”ジオ”。
高度な文明を有し、それ故に争いが肥大化してしまった戦乱の星。
陸地の大部分が荒野へと変貌してしまった惑星の片隅に、その姿はあった。
一人は少女。使い古されたコートにターバン、ゴーグルを身に付けた旅装で、現在は焚き火を前に、夕食の準備を執り行っている。
もう一人…というべきか、その目前に膝を付いたまま鎮座しているのは、見上げるほどの巨体を持つ一体の白い機兵である。
蝙蝠を思わせる翼は折りたたまれ、感情の見えないその瞳は、作業中の少女をじっと見つめていた。
少女の名はマシロ。機兵の名は特にないが、”白い死神”という通り名をそのまま使用している。
現在は夜。月明かりが唯一の光源である荒野の片隅からは、天に浮かぶ星が良く見えた。
少女は手元の作業を怠ることこそないものの、時折空を仰いではその美しさに見とれていた。
白い死神はその様子をじっと眺めている。言葉を発することは出来ないが、自立行動が可能であり、ある程度の感情が理解できる、というのは、その搭乗者である男の言葉である。
その男も旅の同行者でだった。正確には男の旅路に二人が付き従っているのだが、今は少し離れた木陰にもたれ、眠りについている。
ぼろきれの様な外套に身を包んだ、髪の色を含めて全体的に白い印象を与える長身の男性。閉じた両の瞳は金色であり、この惑星ジオにおいても珍しい容姿をしている。
マシロから名を与えられた男は、シロ。その過去は自ら語ることもなく、謎に包まれていた。
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