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そして、マシロ。彼女はこの星に来てから出会った少女である。
元々は、両親の命を奪った盗賊たちに養われていたという過去があり、その心の内には憎悪と呼んで差し支えないほどの強い感情が芽生えていた。
しかし同時に自分自身の無力さも痛感しており、当初は流れ着いたシロを利用して復讐を遂げようとさえしていた。
しかし、いざそれを実行に移そうとした彼女の心に浮かんだのは、途方もない空虚な思いであった。
自らの行動が望むべき未来へ結びつかない。それはシロが抱いたかつての思い、”絶望”とも呼ばれた感情の色。
だからこそ、シロは彼女を見捨てられなかった。自らの絶望の殻を破り、どこまでも眩しく輝いて見せた一人の男に救われた過去を持つ彼自身を、彼女に重ねたから。
故に、彼らは行動を共にする。生き足掻き、希望を手にするために。
(まぁ、今すぐにどうにかなる身体ではない…思い悩んだところで仕方の無い、か)
シロは自らの抱いた疑問に対する答えを先延ばしにした。下手に悩みを抱えて、周囲に余計な気遣いをさせるわけにも行かないからである。
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