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「あ、あの、大丈夫ですか?」
思わず声を掛けるマシロに、少女は言葉にならないながらも、コクコクと頷いてみせる。正直あまり大丈夫そうには見えないので、相手に余計な心配を掛けないための気遣いなのだと理解する。
その様子を見たマシロは、今度はシロに向き直った。
「…知り合いなの?」
「いや。ただ、どうやら共通の知り合いがいる間柄、ではあるようだが」
そう言いながらも、シロは困惑の表情を浮かべていた。
星間連合に属する惑星ならば、勇者機兵隊という組織の存在は知っている。
そして神条正人とは、その組織の隊長を務める男でもある。個人名として有名という訳でもないのだが、知っていても不思議はない名前ではあった。
そのため、その名前を知っているというだけでは、相手の人物がどういった存在であるかを察することは難しい。
但し、少女の示した反応は異常である。知っていてもおかしくない名を口にした自分に、なぜあのように驚いたリアクションをするのか。
単に性格だけの問題ではないだろう、というのが率直な感想であった。
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