6人が本棚に入れています
本棚に追加
やがて思いついた一つの考えを口にした。
「つまり、この欠片を神条正人に届ければ良いのだろう?」
「え? いや、それはそうですけど。でも、空間的に閉ざされた場所へ、どうやって向かうと言うんですか…?」
カナメの力ない言葉に、シロは手にした欠片を掲げて見せた。
「これはそもそも、その為のアイテムではないのか?」
「…………あ」
シロの発言に、ようやく落ち着きを取り戻すカナメ。
正人に渡した欠片は、本来の機能である時空移動の能力を持ったままだった。ならば今この場にある欠片も、同じような能力を持っている筈である。
問題があるとすれば、それを誰が届けるのか、ということである。
カナメにはこれから、更に時空を超えて別なる勇者に協力を呼びかけるという使命がある。そして何より、ヒリュウ族であるカナメに界渡りの紋章を使うことは出来ない。
既に開かれているゲートを通ることは出来るが、紋章そのものを扱えるのは、世界において象徴存在となる存在のみである。
最初のコメントを投稿しよう!