第2話 鮮烈なるデビュー戦

4/10
前へ
/96ページ
次へ
 各馬が本場場に入場してくる。  ホワイトノースは3番手で本馬場に飛び出してくる。   そして返し馬に向かう。  ホワイトノースが駆け出すと、場内からは「おぉ」という声が、いたるところからあがる。  白い馬、地方馬、そして女性騎手ということで、一部の競馬ファンやマスコミの間では人気もあった。  人気先行型、話題性重視の日本的なメディア体質の典型である。 『北の大地からやってきた白い馬、百日草で初陣』 『白き韋駄天、府中の風を突き抜ける』  などとレイアウトされた新聞の見出しも見受けられていた。  だがしかし、大多数の競馬ファンや競馬関係者の目はシビアでもあった。  それが証拠に単勝人気は8頭だての8番人気と最下位であった。  特に競馬ファンは自分自身が馬券を購入しているだけに、私情は介入はしない。  なぜなら自分でお金を出しているからである。  もし損をすれば下手すると社会生活にも支障をきたすようにもなってしまう。  かつて、競馬にのめりこみ、競馬に依存した者が競馬場で自らの命を絶ったケースもあるくらい、それほど馬券購入には細心の注意を払う。  夢をかけるだけでは、馬券は獲れない。  それを競馬ファンはみなが知っている。  だが、そんな夢やロマンを託す者たちも中にはいる。  一発大逆転の馬券劇。  これがあるのは、競馬だけである。  そう、なぜなら8番人気の激走があるかもしれないからだ。  もし仮に8番人気の激走があれば、一攫千金も夢ではない。  そんな夢を託してみたくなる1頭が、きっといるばすだ……。
/96ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加