第1話 おじいちゃんの思い

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 「ハァハァハァ」 百合は涙を流しながら息を切らす。 「姉さん大丈夫?」  雅則は百合に肩を貸す。 「平気、平気。あんな奴に負けてたまるものですか。ノースは私が守る」  そういうと百合は、ゆっくりと立ち上がり、源之助の遺影の前まで来る。 「雅則、みてごらん。おじいちゃん笑ってるよ」 「ほんとだね」  遺影の源之助は笑っている。  百合は右手で涙をふき、笑顔をつくる。  雅則も笑顔。 「おじいちゃんね、最後までノースのこと心配してた。最後までノースのことばかり。ノースは道営の星だっ……て。北の大地からダービー馬をって。だから私は守る。おじいちゃんの愛した、ホワイトノースとそしておじいちゃんのまっすぐな思いを……」 「僕も協力するよ」と雅則が笑顔でいう。 「ありがとう。いたたっ」  百合はアドレナリンが切れ、再び左手を押さえてしゃがみこむ。 「姉さん!」  雅則は百合に肩を貸しながら、部屋を出て、屋外えと出る。  家の駐車場にとめてある車の右側の助手席に百合をのせる。  雅則は左側の運転席に乗る。  エンジンをかけ、ギアを外し、病院へ向かい車を走しらせる。 「雅則、お姉ちゃんのとこおいで」 「い──いいの?」 
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