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「ハァハァハァ」
百合は涙を流しながら息を切らす。
「姉さん大丈夫?」
雅則は百合に肩を貸す。
「平気、平気。あんな奴に負けてたまるものですか。ノースは私が守る」
そういうと百合は、ゆっくりと立ち上がり、源之助の遺影の前まで来る。
「雅則、みてごらん。おじいちゃん笑ってるよ」
「ほんとだね」
遺影の源之助は笑っている。
百合は右手で涙をふき、笑顔をつくる。
雅則も笑顔。
「おじいちゃんね、最後までノースのこと心配してた。最後までノースのことばかり。ノースは道営の星だっ……て。北の大地からダービー馬をって。だから私は守る。おじいちゃんの愛した、ホワイトノースとそしておじいちゃんのまっすぐな思いを……」
「僕も協力するよ」と雅則が笑顔でいう。
「ありがとう。いたたっ」
百合はアドレナリンが切れ、再び左手を押さえてしゃがみこむ。
「姉さん!」
雅則は百合に肩を貸しながら、部屋を出て、屋外えと出る。
家の駐車場にとめてある車の右側の助手席に百合をのせる。
雅則は左側の運転席に乗る。
エンジンをかけ、ギアを外し、病院へ向かい車を走しらせる。
「雅則、お姉ちゃんのとこおいで」
「い──いいの?」
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